言葉にできないからって

北山宏光くんに対する気持ちが高まった時に更新する、雑多なブログになる予定。

キスマイの歌声について話をさせてくれ

もいです。ブログではお久しぶりです。 

キスマイの歌声について語りたい語りたい、と思い始めて早数年。気がついたらこんなに時間が経っていた。

私、キスマイの声が好きなんですよね。圧倒的な歌唱力の持ち主は不在のグループだと思うけど、声のバランスや質がとってもいい。タイプは違うのに、ユニゾンになった時に綺麗にまとまる。誰の声を大きめにミキシングするかで、ユニゾンの色がガラッと変わる。そんな面白さがある声質を持ったグループだと思ってます。だから、キスマイの声・個々の声についてどこかで話したいなと思っていたんですよね。

私は北山担なので、自担以外のメンバーのことを話せるだけアンテナが張れてるかと言われると自信がないわけですが…まぁ、その辺はあくまでも"私"の主観全開という前提で、甘く見ていただければなと思います。他担からしたら「○○くんの声の魅力はそうじゃない!」っていう意見がバンバン出てくると思うし、なんなら、北山担からしても「いやいや、彼が輝いているのはあの曲だろ!」って異論があるかもしれません。異論は認めますので、北山担も他担も、自担の好きなパートを書き残してくれると嬉しいですね。

まぁそんなこんなでゆったり話していきます。14,000字という馬鹿みたいな長さになったため、目次を用意しておきますね。良かったら、好きなメンバーだけでも読んでいってくださいね。

 

 目次

 

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千賀 健永  -Kento Senga-

千賀さんのはロイヤルで甘い、かつ、しっとり質量感ある歌声の持ち主。圧倒的に裏メロを歌わせたいタイプの歌唱なんですよね。情緒たっぷりに歌い上げる千賀さんは、見ていても気持ちいいし、本人も本当に気持ちよさそう。

I miss you smileを現場で聴いた時、私はとんでもねぇものを聴いてしまったと思った。千賀さんはフォルテで歌い上げるイメージがあったけれど、この曲ではピアニッシモの繊細さを表現していて、こんな子が最年少なんてキスマイの未来は明るいなと震えた。

千賀くんといえばダンスのイメージが強いですが、実はピアノと歌だけでも見せきってしまうくらいのオールマイティの実力派なんですよね。自己プロデュース力も高く、自分がどんなソロ曲を求められているか、どんな曲が合うか、自分のテクニックの活かし方をよく理解している。だからこそ、ソロ曲の外さなさは安心感すらあるんじゃないかな。例えば自己プロデュースでソロ活動をした時に、1番楽しく活動出来るは千賀さんじゃないかと思う。作曲などやりたいことも多そうだし、千賀さん自身がやりたいこととファンの需要がしっかりマッチしそう。

▷▶︎I miss you smile

もうこれですね。自担ではないですが聴く頻度が高いソロ曲。千賀健永の歌という側面に関して、魅力が最高潮に達していると思う。吐息多めのAメロに始まり、そこからポツリポツリと置くように発される言葉。音数少なめのピアノに乗せて、落ち着いたトーンで紡がれる歌声。思わずその歌声に息を飲んでしまう。随所に入る音楽を加速させる細かいビブラートは、千賀くんの専売特許。いや…シンプルに良すぎでは?千賀くんの声って、avexに多めな電子音よりも、こういうシンプルなピアノがよく映える思っている。電子音に甘めの声を重ねるギャップも良いのだけど、私はこのシンプルさが刺さった。千賀くんの声も実力もよく活きる。もっとやってくれ。

▷▶︎‪Because I Love You‬

千賀さんに歌わせたいパートと言えば、はい、裏メロですね。‪Because I Love You‬のラストの大サビ。切ないメロディーラインの裏で、千賀さんの嘆くような歌声が重ねられているのが素敵なんですよね。‪Because I Love You‬では美しい過去を思い出す切なさが表現されているのですが、どこか消えてしまいそうな儚さがありますよね?だけど、儚さだけで終わらず、激情をプラスしてくれるのが千賀さんのこの裏メロなんですよね。誰ですかこんな上手い構成をして、このパートを千賀さんに歌わせたのは。大正解です。現場で聴いた冬ヤミ、このパート削ったのはなんでですか。どういうことですか。

 

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 宮田 俊哉    -Toshiya Miyata-

宮田くんはとにかくもう"イイ声"なんですよね。雑って思われるかもしれないけど、本当にこの言葉に尽きるくらいイイ声なんですよ。地の声がとってもいい。上向きの明るい声色と、宮田くん特有のアタック強めな発音は、曲の明快さを強調する。また、包み込むような優しさは、曲に癒しをプラスしてくれる。宮田くんのその優しい声で歌い上げることによって、言葉の意味がぐっと強まることがあるんですよね。

オタクキャラとして歌うオタクだったってIt's all rightは、あの宮田くんの上向きの声なしでは成立しなかった。キャラだけではない。宮田くんの声があの曲を成立させている。

それからびっくりしたのは、like a Mt. Fujiの冒頭、「B U S A to da I K U」のパート。宮田……くん……??(私初見で藤ヶ谷さんと思った。誰かそう思った人いない?え?わたしだけ?)このイカつめトーンの宮田くん、すっごくいいんですが!?こういう太めのトーンを乱用した宮田くんの曲を聴いてみたいです。期待して待ってます。

▷▶︎感じるままに輝いて

私が好きなのは「君は君のまま」という宮田くんの短いフレーズ。『宮田くんが「君は君のまま」というメッセージを歌うこと自体がいい』という人柄評価が入っているのは否めないけど、明瞭な透明感を持って歌われるこの短いパートが、強い印象を残していくんですよ。グッとくるんですよね。この強さと透明感、エグ味のなさは、キスマイでは宮田くんにしか出せないと思っている。(透明感とエグ味のなさは玉森くんも同様だけど、そこに明確な"強さ"が入るのは宮田くん)

▷▶︎ビューティフルデイズ

これは宮田くんの声を語る上で外せないのでは?こんなにも宮田くんに合う曲、他にあります?まず第一に、音域があっている。宮田くんって高音を歌い上げるより、中音域を明瞭に太く歌い上げることに長けていると思っている。だから、キスマイ楽曲だとちょっと高すぎる気もしている。その点このビューティフルデイズは、高すぎない音域ながらも、ハピネス感溢れるメロディーで展開していく。多幸感溢れる楽曲に宮田くんの声が乗ると鬼に金棒状態なので、聴いてない方は早く聴いた方がいい。ファンタジーのような多幸感がある曲の世界観を満喫して欲しい。個人的には、この曲は宮田くんのソロ曲の最高峰に君臨していると思っている。

 

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横尾 渉    -Wataru Yokoo-

歯に衣着せぬ言い方をするならば、横尾さんは歌があまり上手くない。これは周知の事実と言っていいと思う。「俺、歌ってねぇから」とケロッと言ってのける横尾さんは、もう既に別のフィールドで戦っているんだろうなとすら感じる。だけど、歌に対する横尾さんの遊び心が見える瞬間は、とても良いんですよね。歌そのものよりも、演者のそういうスタンスが曲を華やかにすることがある。横尾さんはそれを体現していると感じる。…とは言っても、今回は歌声についての考察なので。特に好きなパートを以下に記載しておきます。

▷▶︎Tequila!

横尾さんと言ったら個人的に外せないのがこの曲なんですよね。ライブで楽しそうにしている姿ではなく!歌が!横尾さんの使い方が!イイ!!!「Baby Just Crazy Girl 全部燃やして」のパートが素敵すぎませんか。ライブもいいですが原曲を聴いて。これが横尾さんのパートだと気づくのに、ちょっと時間を要した。このパートのかっこよさと色気がとんでもない。横尾さん、その引き出しをどこに隠し持っていたの?と問い詰めたい。そして随所に挟まれる横尾さんの高音(?)の合いの手(?)。これがまたいいんだ。言っておきますが、ふざけてません、いじってません、全力の本気でいいと思ってます。横尾さんは、こういった遊び心で表現するパートがすごく上手い。声も特徴的だからこそ、ユニゾンから抜けてきて、いいアクセントになる。そしてその潔さ。歌で遊べるグループが好きな私としては、こういう部分にすごく反応してしまう。

▷▶︎サクラヒラリ

横尾さんが2サビ終わりのCメロを担当するこの曲。横尾さんの無垢な声が凄く良く活きているパートなんですよね。優しさを感じるし、この毒気のなさが良い。そしてシンプルに歌う横尾さんの後に、歌い上げる系の千賀さんが控えている対比もまたいいんですよ。横尾さんは決して歌が得意ではないのだろうけど、歌声でこういうタイプの無垢さを表現させたら1番。それこそ誰にもない個性では。

 

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藤ヶ谷 太輔    -Taisuke fujigaya-

藤ヶ谷さんの声は、キスマイにおける"支配"の象徴だ。支配感が強まれば強まるほど、ギラギラと底光りする。最近の藤ヶ谷さんの表現方法としては、大人の男性らしくサラリとこなす側面もあるのかもしれない。だが私は、藤ヶ谷さんには圧倒的な支配感、もしくは強調を超えた存在感を求めてしまう。

ここで言う支配感とは、歌割りを増やして見せ場を作ることや、声を大きく入れるミキシングをすることとは、必ずしも一致しない。短いフレーズでも、部分的な掛け合いでも、その一瞬の熱量で明確な色を放出できるからこそ、セリフ部分等を任さることが多かったのだろう。私にとって藤ヶ谷さんは、一生そういうポジションだ。燃え続ける青い炎のような存在感を、一生眺めさせてくれ。

また、藤ヶ谷さんはキスマイの中では高音を担当することが多く、無理なく高音を出すことに関して秀でている。例えばDream onのキーは、男性ボーカルが歌うにはあまりにも高すぎたが、このキーを気持ちよく歌ってみせるのが藤ヶ谷さんだ。そして、そのストレスフリーな状態でスコーンと発される藤ヶ谷さんの歌はすごく気持ちがいい。小手先で色んなことをしなくとも、そういう音が聴こえてくるだけで、曲のボルテージはどんどん高まっていく。

▷▶︎Overture~Music Colosseum〜

この曲はオラオラ系ではあるが、意外と全体がメロディックに構成されている。こういうオラオラ系には何かとラップを入れがち(なんならポップチューンにも入れがち)なキスマイには、少し珍しい気もする。ラップに頼れない構成の中、イカつさをどう演出するか?その時に活きるのは、やっぱり藤ヶ谷さんだ。「液晶ディスプレイ 踊るBAD NEWS 情悪の連鎖 止めらんない」というイカつめの藤ヶ谷さんの声。メロディックでありながらも"BAD""憎悪"と濁点が続くこのゾーンでエグ味を演出していく。このエグ味は藤ヶ谷さんしか作り出せない良さだと思う。この曲でこのパートが1番光って見えるし、全ての藤ヶ谷さんパートの中でも、サラリと上位に入るパートだ。

▷▶︎Luv Bias

この曲で私が言いたいのは、もはやソロパートでもないので、藤ヶ谷担に怒られそう。この曲は、サビ前までは比較的低めの音域で、音幅もなく展開していく。この曲の中で、急に音域もテンションもグワッと上がるのがサビ入りだ。サビ入り、「愛してる」は藤ヶ谷さんのソロパートかと思うくらいガッツリ声が入ってくる。ここは、藤ヶ谷さんの声がスコーンと聞こえてくるか来ないかで、曲の印象が全く違うと思う。これまで「Forever(スノードームの約束)」など、音域が高く伸びが必要なパートを、明瞭に躊躇なく彩り続けてくれた藤ヶ谷さんだからこそ、このパートが輝いているんだと思う。

 

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玉森 裕太     -Yuuta tTamamori-

玉森さんの歌声はいつだって、新たな始まりの予感を感じさせてくれる。そんな不思議な魅力を持った声だ。

例えば、玉森くんがAメロを歌うと、物語のプロローグのようだ。One Kissはまさにそれ。これから物語が始まろうとするAメロで、静かに物語をスタートさせ、何か起こる感を演出するのが彼だ。そんなドラマチックな幕開けを期待させる。

そして、終盤の大事な場面で玉森くんの声が入ると、何故かリスタートのような印象を受ける。例えば、今はまだ遠く 果てしない夢も。ほぼ藤北パートで構成されているこの曲において、2サビ終わりのCメロだけ色が違う。玉森くんが入ってくるのだ。北玉→藤玉パートをで、明らかに新しい風を感じる。悶々とした藤北の情感をスッキリ整理して前に進むような、そんな推進力を感じる。

同様に、赤い果実Cメロで「もう一度ここから始めないか」とリスタートを切り出すのも玉森くんだ。勝手ながら、玉森くんの声の存在感は、リスタートの象徴なのだと感じる。

▷▶︎Love story

玉森くん、いつの間にこんなに深い表現をするようになったの。以前はもっと、あっけらかんと歌っていた印象だったし、それはそれで良かった。だけどこの曲は、声に深さが出てきたとでも言うのだろうか。ドラマ出演などで培われた演技力が、歌に逆輸入されたようなそんな印象だ。じんわりと染み込んでくるようなナチュラルなトーンの声が心地いい。それでいて歌詞に登場する言葉がふわっと浮き上がってくるような、そんな感覚を覚える。玉森くんの歌の魅力に驚かされたソロ曲だ。

▷▶︎Camellia

まずい、玉森くんのソロ曲が好きなことがバレてしまう。だけど、この曲も本当にいいんだ。Love storyは深みを感じる歌唱なのに対して、Camelliaはひたすらに真っ直ぐな良さだ。癖がなく曇りがない、クリアな玉森くんの声を感じることが出来る1曲だと思う。私が元来から感じていた玉森くんの声の魅力は、こういう部分。それを凝縮したような爽快感がある曲だ。ライブで披露されていないからスポットが当たらなくて寂しいけど、名曲だからどこかで披露して。

 

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二階堂 高嗣      -Takashi Nikaido-

二階堂さんの声は、キスマイの歌にスパイスを与えてくれる。二階堂さんの声が入ることで全体がピリッと締まるし、輪郭が際立つ。ハスキーな声はオラオラ系の楽曲で活きるのは勿論のこと、バラードでの存在感も増しているように感じる。専らキスマイのラップ担当として活躍をしており、あの独特な声質から放たれるラップは、とんでもなくかっこいい。だけど、私の個人的な意見を言うと、ラップではない歌をもっと聴きたい。メロディーラインを歌う二階堂さんの声がすごく好きだ。ラップパートはゴリゴリにかっこいい二階堂さんだが、歌声は意外に、少年性を帯びている。

例えばSeven Journey。私はこの曲が大好きで、この曲を『大人と子ども間、現実と夢の間、そこで不安を覚えながらも明日に期待する曲』だと捉えている。そして、この曲で"大人で子どもの間で大人になりたくないピーターパン感"を演出しているのは、間違いなく二階堂さんだと思っている。

そしてその少年性に強さをプラスすると、鋭利さが増して、かっこいい曲の雰囲気にもカチッとハマる。

▷▶︎Forza!

玉森裕太with横宮二千としてのこの曲。二階堂さんはwithに位置付けられているこの曲だけど、もう2番頭で衝撃的な良さを放っている。「信じてるものに縋って 生きて行くのも楽じゃないって 夢を諦めてくことさえ」の二階堂さんは、歌詞も相まって、少年が青年になる最中の、どちらの魅力も兼ね備えたエモさを感じるんですよ。一生の中でたった一瞬しかないこの時期特有の魅力を凝縮したような歌声で、かつ、それが今も要素として残り続けている。キスマイが少年から青年の過渡期に歌うような曲を、今後歌う可能性は低い。だけれども、かっこいい方面のみに振り切らず、こういう歌声も活かせる曲があるといいなぁと常々思っている。

▷▶︎Edge of Days

Edge of Daysがラジオで解禁された時、2番の二階堂さんのソロパートを何回聴き直したか分からない。2番のこのパート、強い。とんでもなく強い。例えばキスマイで強いとされる藤北は、物質量を極限まで上げているようなヘヴィな強さだ。だけど二階堂さんの強さは、"鋭利さ"だ。物量的な重さでなく、切り裂くような鋭利さが、強い印象を刻んでいく。こういう強さがあるのかと、ハッとさせられた。

 

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ここまで自担以外の6人をバーッと書いてきましたが…曲として1曲にパッケージされているものを、わざわざ分解して個々の声について話すなんて、やっぱり私には難易度が高すぎたのかもしれない…。

そしてこれから自担ゾーンに入りますが、『あれも好き!これも好き!状態』のため、多分ここからは理性なんてない。北山さんのオタクとしての自我しかない。これまでがなんだったのかと感じるくらい違う温度感になってしまうかもしれないけれど、許して。

 

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北山 宏光     -Hiromitsu Kitayama-

北山さんの声質って、少なくとも扱いやすいものではないと思う。鼻にかかったような声質は、人によっては聴きづらく感じる人もいるだろうし、特徴的だからこそ誤魔化しが効かない。生放送でやらかす時に比較的ダメージが大きいのは、この声質だからこそだとも思う。だけど、この声を活かした歌唱をしている時には、強烈に印象に残る。0か100かの声質と言ってもいい。これからお話する北山さんの歌声の魅力は、その100の側面だと思ってください。

北山さんの歌声の何が好きって、前述した特徴的な声質そのものと、曲によって温度や質感を操る表現ができるところ。

特に私は、北山さんが歌い出しを務める曲が大好きだ。北山さんの歌い出しの声の温度感によって、その曲のテーマを提示してくる瞬間に、いつもドキッとさせられる。例えばI Scream Night。「Bring the beat ほら身体中に 日響き渡るリフレイン」の温度の高さ、分かりますよね?このワンフレーズで、この曲の高揚感や躍動感、パワーをしっかり拾っている歌い出しだと思う。裏で鳴るバスドラムに、北山さんのこの声が乗るだけで、とんでもなくテンションが上がる。頭のフレーズから陽のパワーが必要な時には、1段高いところから始まるような北山さんの歌声がドンピシャでハマる。

ISNのような曲では比較的カラッとした声質を使ってくるが、時には、湿度高めな声質で、鼻にかかったような甘めの発音で歌い上げる。甘さというよりも、"甘ったるさ"と表現した方が良いかもしれない。私は宮田くん、千賀くんの歌声を"甘い"と感じることがあるが、それは蕩けるような甘さで、例えるならアイスクリームのような甘さである。北山さんの"甘ったるさ"は、粘りつくような甘さで、例えるなら蜂蜜のような質感だ。尾を引くような甘ったるさは、曲の余韻として活用されることがある。flamingoやRainy Daysのラストフレーズは、まさにそれだ。北山さんのラストフレーズとともに曲が終わり、纏まりつくような余韻を残していく。私はこのねっちこい甘さが、すごく好きだ。

それから、北山さんのグルーヴ感がとっても好きだ。グルーヴ感って何?って言うのは正直私も説明できないから検索して(検索してもイマイチ噛み砕けない)。私は吹奏楽をやっていた時代に、"拍感は常に一定であるが、音楽における推進力には円を書くような緩急がある"ということを教わった。円の上部ではふわっと浮き上がるような感覚があり、下部の弧を描く時には振り子のような重力が働く。ジャズなんかでは特に、こういう抜きとウェイトの感覚が重要だ。私が言いたいのは、要は、こういう感覚のことだ。正式な定義は知らないけど、ここではそれをグルーヴ感と呼び、"音楽においての推進力"と定義したい。

私は北山さんのつくるグルーブ感が大好きだ。特にBaby Loveのようなファンクでは、リズム感の良さや、ウェイトを感じやすい。また、グルーヴ感を語感に落とし込む感覚も信頼している。DON'T WANNA DIEで「フレーズ」を「フレイズ」と発するような感覚だ。伸ばし棒で軽くなりがちな言葉を、微修正してウェイトを加える意図だと思っている。まぁこういうグルーヴ感や語感の気持ちよさは説明しづらいし、感じ方の個人差もあるので、とにかく聴いてくれ。という気持ち。

Tell me whyの「Oh my baby」で、他のメンバーは「イベー」の頭にウェイトを置いた歌い方をしているが、北山さんは「ベイィベー」という"イ"にウェイトを置いた歌い方をしている。これが好きな人は、比較的私と同じ趣味をしていると思う…

▷▶︎FUTURE TRAIN

「あえてのこれかよ」と思いますよね、この選曲。いやでもまぁ、この曲の北山さんの声がとってもいいんですよね。北山さんは歌い出しを担当しているのですが、曲始まりからこんなにも陽のパワーを感じることってありますかね?声のトーンがとっても良い。そして、「高鳴る胸 / 待ち焦がれた / 物語の / 始まり」は、それぞれの言葉の最後が1番低い音になるので、そこで停滞しがちなメロディだと思うんですが…そこでトーンが落ちず、この曲のリズム感・高揚感がしっかり続いていくんですよね。私は北山さんの音末処理がとっても好きなので、ここで泣きかけました。

そして、ラスサビ前の「ずっと探し続けていた」ですよ。視界が開けるような感覚を覚えるんですよね。もう1段高いところから降ってくるような声が堪らんのです…。

▷▶︎Tequila

歌で遊べる人が好きだと横尾さんのターンでお話しましたが、北山さんの遊び方も良いんですよ。「I Want I Want~」の甘さ、「逃げないで」の癖の強さ、「Tequila!」のチャラさ、「灰になるまで」のドスの効いたトーン…この1曲に、北山さんのタイプ違いの魅力が、沢山詰まっている。こういう様々なニュアンスで歌える人が好きです、大好きです。

 

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はい、9000字を超えてまいりました。長かった。そして結局、キスマイの歌声の魅力ってなんだよ!っていう話なので、以下、総括。

 

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キスマイの歌声の良さとは

 キスマイの歌声の魅力は、上述したようなキスマイの声が絡み合ったときに、発揮されるものですよね。『何当たり前のことを言っているんだ』という声が聞こえてきそうなので、曲名を挙げてお話をしますが…。以下に挙げる曲はどれも、キスマイの中で名曲と呼ばれてもいい曲だと認識しています。『この曲の○○のパートがいい!』だけに留まらず、全員の声がしっかり活かされた構成になった曲は、それだけで価値がある曲なんですよね。必然的に楽曲のクオリティも高い曲になるので、歌声の話を出た話にもなってしまいますが…。

 

▷▶︎flamingo

キスマイの最高傑作と言っていい楽曲。楽曲がいいのは勿論、歌割りが優秀。開始早々「yeah yeah〜」という藤ヶ谷さんの伸びがある歌声が響く。この時点で名曲を確信。「シャンパンのようなUr Smile」の豊かな高音も流石。

「ほろ酔いでも伝えられないまま」の高音を歌い上げる玉森さんは、切なさを凝縮したような儚さを帯びている。消えちゃいそう。

2番では、メロウな二階堂さんのラップと、甘い声で囁くように歌う宮田くんのコントラストが芸術的だ。そして、千賀くんのふくよかなメロディーパートに、ドライな横尾さんの声が乗る。この対比もまた良いんですよ。

そしてラップパート畳み掛けの後の、「溢れ出した熱の色」の北山さん。冒頭からラップのみの歌唱で、ドライパートを担当してきた北山さんが、ここで"溢れ出した熱の色"を歌うという構成…分かりすぎるし好みすぎる。

ラスサビは千賀さんの裏メロの独壇場。千賀さんが圧巻の歌い上げを見せるココは、曲の1番の盛り上がりどころであり、1番多くのパートが混在する部分である。全てのパートがパズルのようにハマりながら曲を構成していく素晴らしさと言ったら…。

曲も最高、歌割りも完璧なflamingo。心から地上波デビューして欲しい。隠れた名曲過ぎる。

 

▷▶︎One Kiss

One Kissは起承転結が美しすぎるんですよ。

まずは玉森さんのプロローグのような歌声からスタートですよ。この良さを感じて欲しい。落ち着いたトーンで"起"を予感させる。そして物語を展開("承")させるのは、それに続く北山さん。「揺れないで 行かないでよ」という歌詞にふさわしい揺れを表現する北山さんの声が好きでな。そして、曲の雰囲気が一変。"転"の藤ヶ谷さん。「今夜こそ 逃がさないよ」というダークさ漂う声質にハラハラする。

そこから、"結"サビは、掛け合いが本当に鮮やか。藤北玉と横宮二千の掛け合いなんですが、「照れ隠し進めない数センチの果て」のニカ千良すぎるんですよ。ハスキーな二階堂さんと、甘い千賀さんの甘辛ミックスが強く聴こえる…本当にこの響きが好き。この響きを聴きたいがために、この曲を聴くことがある。

まえあしと舞祭組の分け方は、キスマイの悪しき風習のような扱いになってきているけど、こういう掛け合いにおいての歌声の組み合わせとしては"全然あり"なんですよね。陽と陰、硬と柔、甘と辛のバランスが良いと思う訳で。だから、One Kissのような対等な掛け合いには持ってこいですよ。

2番は二階堂さんから宮田さん、横尾さんから千賀さんへ歌い継がれる。だからこの、辛→甘の歌い継がれが、大好きだって。2番を舞祭組パートとしてしまうことは勿体ないのだけど、舞祭組は、【甘:宮千⇔辛:横二】とバランスが神がかっているので、コントラストが素晴らしいことは目に見えている。もうそれだけで勝訴確定。

そして、「口元で約束を交わそう」のサビ前、千賀さんの盛り上げが流石すぎる。豊かで幻想的な響きが、鮮やかなサビに繋がるのはもう理想的な運びですね。

いや、OneKissの2番、どこかで披露してくださいよ。フルでも3分半くらいの曲なのだし、フルで聴いて、声の対比を味わってこその良さがあるのに…

 

▷▶︎THIS CRAZY LOVE

これまた個々の役割が完璧な1曲です。比較的最近の曲であるため、格差が顕著すぎるという嫌な感じなく聴ける曲だ思います。

まず「Uh…Crazy Love」というジャブを打ってくる千賀さんですよ。初っ端から千賀さんのためのパートとも言うべきパートが、しっかり千賀さんに振られている。感動。

歌い出しは北山さんによって、アンニュイな雰囲気に。この雰囲気作りが最高なのは言うまでもないですね。

Aメロの変化パートを藤ヶ谷さんが歌い継ぐのはキスマイの形式美的ですが、それでもこれに良さを感じてしまう自分は抑えられない。途中に「キミの感触 Make me shock 思い出すから」という宮田さんのパートが入るのも良い。宮田さんの章で話した通り、藤宮は似たトーンを持っている部分があるので、境目を感じないくらいナチュラルに馴染む。こういうグラデーションは面白いから、ガンガン入れ込んで欲しい。

「部屋に残る君のレースのベビードール」の入り、深いところから掬うように歌う玉森さんがまたいいんですよ。玉森さんのようなクリアな声で「ベビードール」を歌うのもいやらしさを感じすぎない綺麗な構成で良い。

そして、さてきましたサビ前の二階堂さんの畳み掛けラップ。この曲の肝ですよ。メロディックに展開してきたこの曲をガンガン加速させていくニカラップ。やっぱりニカラップは良い…。

さらにそこからの2番、二階堂さん無双よ。宮田くんと千賀くんを絡めながらガンガン加速させていく展開は胸アツ…。途中に「優しさ演じるほどに壊れた」の玉森さんの高音を入れ込むことも分かりすぎてる。サビ前、藤ヶ谷さんでグワッと盛り上げて、「Don't wanna let you down」で音楽を切りにかかる構成も良すぎる。2番の完璧な構成に涙が出てきた…。なんでライブで披露されてないの、ここ。

冒頭から"誰のどのパートが…"という書きぶりで追ってきたけれど、この曲はそれが間に合わないくらい、パートが乱立しているんですよね。この曲の魅力って、パートの絡み合いなんですよね。様々なパートが途切れなく聴こえて、どれが主旋律とも分からず、展開を止めない。どれも主旋律であるような対等さを演出するために、個々のソロパートはどれも強烈にいい。短いパートでも、どれもその人じゃなきゃいけない良さを感じるんですよ。本当にとんでもない曲が出てきたなという印象。

二階堂さんのラップが無双している点、千賀さんのフェイクが最高な点で、ニカ千担としては必修の1曲と感じていますが、どの担当も大満足の良さなのではないかと思う。今のキスマイの姿として、最高の音楽に挑戦してくれたな。曲を聴いていたら、思わず泣けてきた。

 

 

と、まあ、上記はキスマイの『個々の声を活かす』という点でのお話。キスマイはシンプルに声を重ねただけのユニゾンもすっごくいいですよ。タイプの違う声が重なっているはずなのに、綺麗にまとまるし、それでいて芯があるんですよね。

正直、『綺麗にまとまる』という点に関しては、癖のない声であればあるほど調和しやすいのは確かだ。だけど、キスマイはそうではない。個人的には、声の癖が強めのグループだと感じている。キスマイを聞き始めて、割と早めの段階で声の聞き分けができるよつになったのも、キスマイのこの癖のおかげだ。

キスマイの声をタイプ別にするならば、アイドルとしての正統派の側面はドリボ組(宮玉千)が担ってくれていると思う。この3人がいれば、アイドルの声としてのキラキラ感や、温かみを演出できる。3人のバランスとしても、玉森くんはストレート、宮田くんは大きく包み込むように、千賀くんは揺れ動く縦の響きを。それでいて、みんなアイドル性が高い声質をしている。三十路になっても正統派アイドルソングが似合う声であり続けられるキスマイが大好きだ。ありがとう、ドリボ組。

そして、メインボーカルである藤北は、互いが違う役割を持っている。まぁ最近はメインボーカルという立ち位置ではないのかもしれないが、過去曲も踏まえて聞いてほしい。藤ヶ谷さんの声はどちらかと言うと"陰"の存在感を放っているし、北山さんは圧倒的パワー系の"陽"だ。メインボーカルとして様々な曲をこなしてきた経歴から、キラキラ感や温かみという側面にバシッと合わせてくる器用さはあるけれど、藤北の声の適性は陰と陽であると思う。一口にユニゾンとは言っても、曲によって、この2人の声のバランスを調整するだけで、印象がだいぶ変わる。キスマイの歌唱力に大きな差があるかと言われればそこまででもないのかもしれないが、藤北がメインとして居続けた理由は、その辺のバランスがあるのかもしれない、と思う。

横ニカは、キスマイの声の輪郭を担う声だ。藤千宮のようにふくよかで密度がある声質の輪郭を際立たせるのが、横ニカだ。ドライで辛めなこの声がキスマイのスパイスにもなり、豊かで密度が高い他のメンバーの声質も活かしてくれる。輪郭だからこそ、ユニゾンでもハッキリと存在感を感じられることがある。最近、二階堂さんがバラード曲でも強めに入れられている傾向が目立つが、このバランスはすごく好きだ。アイドル曲において、いくら声が良くても、輪郭がぼやけると途端に残念だと感じる時がある。だからこそ個人的には、このタイプが果たす役割はすごく大きい。

こういう7人の声質のバランスが好きだ。だからユニゾンが綺麗に響く。ふわっしたユニゾンではなく、輪郭がハッキリとした豊かなユニゾンになる。

7人ユニゾンだけではなく、上記のバランスを適正に振り分けるだけで、掛け合いになっても綺麗にハマる。その組み合わせがまたドキドキするんだ。

例えば最近で言うと、innocentの「優しく溶かしてほどけていく」の北宮玉が意外性があってすごくよかった。宮田くんの声が甘く広く、玉森くんがクリアに響き、北山さんがパッと開くような明るさ。この3人の甘い明るめの声が、すごく胸に来た。こういう組み合わせ、もっとくれ。ファンも気づいていないような組み合わせで、ドキドキをくれ。

 

 

まぁ総括すると、キスマイは歌声もいいんだぞって話。正直、テレビ披露での生歌は課題山積みなのでボイトレを頑張ってほしいところではありますが…。CD音源を聴いたり、ライブで聴く限りでは、まだまだ面白いことがたくさんできるグループであると思う。

今はとにかく『歌割を少しでも平等にする』という公式の姿勢が見えるところではあるが、それにこだわらずに『最善の歌割』を追及してほしい。まえあしや舞祭組といった形式美にこだわらない選択の幅を最大限活用して、今後も音楽として最高に楽しませてほしい。キスマイの歌の可能性をまだまだ楽しみたいんだ。

 

では、14,000字にわたってお話してきたこのブログも終わり。話したかったことをたくさん話せて、私は満足感でいっぱいです。果たしてこんなにも長文のブログを読んでいる人はいるのかについては、謎なところですが…。

 

では、長々とありがとうございました。